はじめに
どうも! みなため(@MinatameT)です。
差別に関する説明をするときに、「特定の属性」という用語を使うことがよくあります。
これは一体何を指しているのか、わからない方もいらっしゃると思います。
言葉の定義がわからなければ、議論が成立しなかったり説明が全然理解できなかったりします。
そこで、この記事では次の2点について説明します。
- 特定の属性とは?
- 特定の属性だけで判断するのは不当な差別か?
具体例を挙げながら、説明していきます!
特定の属性とは?
「特定の」とは、「ある決まった~」ですね。
例えば……
- 特定の商品が半額になる日
- 特定の部屋に保管してある資料
- 特定の時間帯に放送されるテレビCM
といったように使います。
次に、「属性」とは、差別の話では次のようなものを指します。
- 体の性別(男性、女性)
- 年齢
- 人種
つまり、特定の属性とは「男性」や「アメリカ人」や「黒人」など、ある限定した属性を指します。
特定の属性だけで判断することは不当な差別なのか?
まずは、特定の属性の人を排除することについて、考えてみましょう。
ここでの「排除」とは、ただ出て行かせるだけではなく、立ち入りを禁止することも含めるとします。
例えば……
- あるスーパーマーケットが、女性の入店を禁止した。
- ある女性が、女性専用車の中にいる男性を追い出した。
- バスの運転手が、身体障害者の乗車を拒否した。
こういったものが、「排除」に含まれるとします。
さて、特定の属性の人を排除することですが、これは不当な差別(やってはいけない差別)に該当することも正当な差別(やってもいい差別)に該当することもあります。
その「不当な差別」と「正当な差別」は、どのようにして判断すればよいのでしょうか。
それは、次の例を見て考えてみてください。
- 非常に安価で超高音質なスピーカーがあるとする。しかし、スピーカー本体が突然爆発する事故が頻繁に起こっている。
- デザインがクールなバイクがあるとする。しかし、ブレーキが全く効かなくなるときがよくある。
- 転職活動の無料相談サービスがあるとする。しかし、相談者の個人情報と相談内容が、外部に(本人の許可なく)流出している。
いかがでしょうか?
非常に安価で超高音質なスピーカーがあれば、音楽好きの私としては欲しいです。
しかし、本体が突然爆発するのなら、めちゃくちゃ危険なので欲しいとは思いません。
つまり、どれだけ良い条件があっても、大きな欠点があればダメだということです。
差別も似たようなものでして、目的が「正当」であっても、その手段に大きな欠点(人権侵害)があればアウトです。
例えば……
- 万引きを防止するために、女性の入店を拒否する。
- 電車内での痴漢件数を減らすために、一部の車両から男性を排除する。
- バスのダイヤを乱さないために、身体障害者の乗車を拒否する。
これらの目的(万引き防止、痴漢対策、バスのダイヤを乱さないこと)はすべて正当です。
しかし、手段がすべて不当です。
なぜなら、特定の属性の人だけに不当な対応(人権侵害)をしているからです。
不当な対応だと言い切れる理由ですが、次の例を見てください。
- 万引き犯の中に女性の割合が多いとする。しかし、万引きをする女性は「ごく少数」であり、ほとんどの女性は万引きなどしない。
- 痴漢犯罪者(痴女犯罪者も含む。)の中に男性の割合が多いとする。しかし、痴漢をする男性は「ごく少数」であり、ほとんどの男性は痴漢などしない。
- バスのダイヤが少々乱れるよりも、身体障害者をバスに乗せないことの方が大問題。もし、身体障害者をバスに乗せたことによって遅延が発生しても、その身体障害者に罪はない。
これらのことを理解していれば、女性の入店拒否も、男性の排除も、身体障害者の乗車拒否も、すべて「不当な差別(人権侵害)」であることがわかります。
全体のごく一部だけを見て、全体を判断しようとするのは「差別主義者」のすることです。「木を見て森を見ず」ですね。
本当は属性ではなく、個別で判断することが大切です。
これができれば、不当な差別をしてしまうことはないでしょう。
それでは最後に、「正当な差別」の例を挙げていきます。これは排除に限った話ではありません。
- ある温泉(男湯と女湯がある。)の女湯に男性が侵入しようとしたときに、スタッフがその男性を排除した。更衣室や温泉など、体を露出する場所で男女を区別するのには正当性がある。
- バスの運賃における子供料金。どの家庭であっても、子供(小学生以下)なら料金が等しく安くなる。
- 未成年者の喫煙の禁止。未成年者が喫煙をすると、本人の健康だけではなく、成長にも悪影響が生じるため、未成年者の喫煙を禁止するのは正当な差別。
このように、特定の属性だけで判断をする差別がすべて不当な差別……というわけではありません。
これを考慮すると、「どれが正当な差別で、どれが不当な差別かわかりづらいときがある!」と混乱してしまう方もいらっしゃると思います。
しかし、「属性ではなく個別で判断する」ということができれば、個人的にはOKだと思います。
「個別で判断する」ということを意識していきましょう!