もくじ
この問題の概要
どうも! みなため(@MinatameT)です。
早速ですが、以下のやり取り(Twitterのダイレクトメッセージ)をご覧ください。
これは、神無月れな(@xtmm_lenax)さんという絵師さんと、お仕事を依頼する学生さんのやり取りです。
学生さんは神無月れなさんに対して「無償の専属絵師」となるように依頼しましたが、当然ながら断られてしまいました。
その直後、学生さんは捨て台詞を残して神無月れなさんをブロックしました。
えっ、これはひどいですね……。
このやり取りの問題点がわからない方もいらっしゃると思いますので、今から説明していきます。
無償で描くのはビジネスとして失格:絵師さんの対応が正解
無償(無料)で手伝うのはボランティアのときだけです。ビジネスの観点では、本格的なお仕事はすべて有料で受ける必要があります。
もし、無償専属絵師の許可をしてしまったら、ビジネスとしては破綻します。
これには2つの理由があります。
1つめは絵師さんたち(特に有名ではない絵師さんたち)が負のスパイラルに陥る可能性があるからです。
- まず、0円や極端に低い価格で仕事を受けた絵師さんがいるとします。
- 他の絵師さんは高額な料金であるのに対し、その絵師さんは無料なので、同じような仕事でも「大きな価格差」が生まれてしまいます。
- 他の有名ではない絵師さんも仕事をもらおうと、価格を大幅に値下げします。
- これが繰り返されて、絵師さんたちが安く買い叩かれるようになります(負のスパイラル)。
有名な絵師さんにはファンが多いので、多少高額でもしっかりと払ってくれるお客さんがいます。
しかし、有名ではない絵師さんたちにはファンが少なく、実力に不相応の料金で買い叩かれていってしまうおそれがあります。
実力と営業力の問題(実力主義)だといえばそれまでなのですが、それだけでは済まされない理由があります。
それは、仕事の表面的な価値が下がってしまうことです。
仕事内容は絵を描いて提供することですが、その絵を描くという行為にはお金を払うべき「高い専門性」があります。
それなのに、無償専属絵師を承諾してしまうと、「無償でできる程度の低レベルな仕事」だと自ら主張しているようなものになってしまうわけです。
素人の私の描いた絵なんて、500円の価値もないと思います(笑)。でも、本職の絵師さんたちは違います。
簡単に言えば、どのような職業であってもタダ働きさせるなど言語道断なのです。
無償で描かせようとするのは論外:学生が悪い
時は金なり(時は命なり)を理解していない問題
「時は金なり」とよく言いますが、私は「時は命なり」とよく言っています。
これの意味は、人間の生きる時間(命の時間)は有限で貴重だということです。
確かに、絵を描くことでスキルアップはできるかもしれません。
しかし、それは個人が練習時間をつくってやることであり、タダ働きの時間をつくってやることではありません。
私もあなたもいつかは必ず死んでしまいます。大切な時間を無駄にはできません。
その学生さんは、「時は命なり」の意識が欠如していたということですね。
相手の時間をタダで奪うことの意味を理解していない問題
前述の「時は命なり」を理解していれば、「無償で専属絵師になってくれ」なんて交渉はできないはずです。
たとえ無名であっても、絵師さんが「絵を描いて提供する」という行為には専門性があり、お金を支払うほどの価値があります。
そして、その絵を描くためにはそれなりの時間を要します。
相手の時間をタダで奪おうとするのは、「お前の仕事(絵)と時間には、お金を払う価値がない。」と言っているようなものです。
これ、本業でやっている絵師さんに対して、非常に失礼なことだと思うのです。
完全になめているとしか思えません。ただ、学生さんを弁護するなら、無知の可能性があるという点ですね。
ムチの可能性とは?
ビジネスを「知らない」ということですね。これから説明していきます。
学生が無知かつ失礼すぎる問題
「無名な絵師さんでもお金ってかかるんですね。」
この学生さんは、「無名な絵師さんでもお金ってかかるんですね。」という暴言を残しています。
ブランドの観点だと、有名であるほうが価格は高くなるでしょう。
影響力の高い人や商品であればあるほどファンの数は増え、価値が世間に広く認められるようになりますよね。
- ピカソが描いた絵:絵の価値が世間に広く認められているため、値段が極めて高い。
- 私が描いた絵:絵の価値が世間に認められていないため、値段が極めて低い(無料レベル)。
しかし、個人で仕事を直接的に依頼しているわけですから、上記の理論は通用しなくなります。
なぜなら、「あなたに専属絵師になってほしい。」とリクエストしているということは、絵師さんのイラストに多少の価値を感じているということだからです。
そこに、世間からの知名度は一切関係ありません。
個人が感じる商品の価値は、世間からの知名度で決まらないのです。
例えば、ある有名なマンガよりも、特定の有名ではないマンガのほうが好きになることだってありますよね。
ミーハー(流行に影響されやすい人)であったとしても、「何の価値も感じられないもの」には手を出しませんからね。
「じゃあ結構です。他をあたります。」
これも問題発言であるわけですが、まずは前半部分の「じゃあ結構です。」について考えましょう。
おそらく、「無料でやってくれると思ったけど、無名のくせにお金を要求してくるなんて、ひどいやつだ!」と言いたいのでしょう。
本業でやっていないボランティアの絵師さんなら無料で引き受けてくれますが、普通はタダ働きなんてありえません。
どちらが「ひどいやつ」なのかは一目瞭然です!
では、後半部分の「他をあたります。」について考えましょう。
これには2通りの推理ができます。
1つめは「他をあたる」が真実の場合です。2つめは「他をあたる」がウソの場合です。
- 真実の場合:神無月れなさんに対して、「お前とは組まない! こんなの願い下げだ!」という気持ちを暗示している。また、ビジネスの感覚がおかしいだけでなく、絵師さんたちをバカにしている。
- ウソの場合:神無月れなさんに対して、「お前とは組まない! こんなの願い下げだ!」という気持ちを暗示し、すべての絵師と組まない選択をした。
どちらの場合でもひどいですが、真実だった場合は被害が拡大する可能性があります。
つまり、他の絵師さんも同じような交渉をされるかもしれないということです。
絵師さんも暇ではありませんから、こういった無駄な交渉による被害を減らすためにも、お仲間同士で「危険人物リスト」を共有しておいたほうが良いかもしれませんね。
最後に神無月れなさんを即ブロック
この行動によって、まったく反省していないどころか、神無月れなさんを悪者扱いしていることがわかりました。
これは失礼すぎますし、まったく正当性のないブロックです!
ブロック機能を使うときって、自分を守るときが多いですよね。攻撃のために使うなんて……。
おわりに
神無月れなさんとは無関係の私が勝手に熱くなってしまい、意見を長々と書いてしまいました。
ビジネスに詳しくない学生さんであったとしても、失礼なやり取りをした事実は変わりません。
もし、その学生さんがこの記事を(運良く?)読んでいらっしゃるのなら、しっかりと反省していただきたいと思います!
あと、この記事を読んで「無償の絵師さんを探そうとしているところだった……。ヤバい(汗)。」となった方は、良い勉強になったことでしょう(笑)!
過ちを認め、反省し、改善のために努力する人が成長できます。過ちを認めなければ、そこで成長終了です。
追記
この記事は、2019年4月23日におこなわれたやり取りに言及したものでした。
あれから約3年後の2022年2月、私は神無月れなさんのTwitterアカウントがなくなっていることを知りました……。
そこで、埋め込みツイートや引用画像をすべて削除し、似たような内容の画像に差し替えるなどの対処をとりました。
ちなみに、差し替え後の画像内のアイコンは私の自作です(↓)。
私は記事の画像も動画のサムネイルも自作しているので、時間を要しますが無償なんです(笑)。